1. 色素分散チタニア電極の作製 ITO透明電極付きガラス板上にチタニア微結晶薄膜を作製し、この上にチタニウムアルコキシドとフルオレセイン色素を含むゾルーゲル反応溶液をコーティングすることによって、色素分散チタニアゲル薄膜を作製した。水熱処理時間を変えることによりチタニアの結晶化度と色素量を変化させた。 2. 電極の構造観察 電極のSEM観察、XRD測定、IRスペクトル測定を行い、水熱処理時間によるゲルの粒子成長および結晶化にともなうナノ構造変化を観察した。 3. 電極の分光測定および電気化学測定 色素分散チタニア電極のUV-VISスペクトル、蛍光スペクトルを測定し、水蒸気処理にともなう色素の脱離量、構造変化、チタニアとの相互作用の変化を観測した。 色素分散チタニア電極の光照射下での電流電圧特性・光電流スペクトルを測定した結果、チタニアゲルの水熱処理時間によりチタニアのナノ構造と半導体特性および色素との相互作用が変化し、光電変換特性の向上に大きな与える影響を与えることが明らかになった。 4. 色素分散チタニアゲルーチタニア微結晶傾斜組成電極への適用 水熱処理時間を変えた多層コーティングによって、色素分散チタニアゲルーチタニア微結晶傾斜組成電極を作製した。電気化学測定、分光測定の結果より、チタニアの半導体特性および色素との錯体形成により伝導帯下端電位の階段構造が形成され、界面における逆電子移動が抑えられ電子注入およびチタニア中での電子輸送を促進し、エネルギー変換効率が向上することが明らかになった。
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