これまでに、超分子化学的概念に基づき設計した脂質分子が、水中で自己集合することで超分子ナノファイバーを形成することが明らかになっている。さらに、最近我々は(1)超分子ファイバーが特定の分子をファイバー中に取込むこと、および、(2)長軸方向に沿っで脂質分子が側方拡散していることを明らかにしてきた。そこで、本年度は超分子ファイバーをマイクロスケールで固定化する検討を進めた。これによって、マイクロスケールでのバイオ関連検体のセンシング・分離システムめ開発につながると考えている。具体的には特定のタンパク質を特異的に結合する機能を付与した超分子ナノファイバーを構築し、PDMSで加工したマイクロスケールの流路の中に導入・固定化する技術を開拓した。得られた機能性ナノファイバー埋め込み流路の中に検体を導入すると、複数のタンパク質の混合物の中から特定のタンパク質を特異的に結合・回収できることが明らかにした。また、顕微鏡観察による蛍光減衰現象の解析から結合したタンパク質はファイバー上を側方拡散していることを明らかにした。今後、流動現象の詳細な解析を進め、センシング・分離するシステムへと発展させるため新たな知見の蓄積と機能開発を進める。また、物質変換システムへと展開するために酵素を超分子ファイバー上に固定化する検討を行う。
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