本研究では、高い機能をもつバイオマテリアルの創製を目指して、分子のサイズが制御可能なデンドリティックポリマーに着目し、その末端アミノ官能基を糖鎖で修飾し、水中で自己会合させるためにフッ化炭素鎖または炭化水素鎖を1本導入した両親媒性デンドリティックポリマーおよびその多糖ポリマーの開発を行うことを目的とする。フッ化炭素鎖をもつデンドリティックポリマーは、エチレンジアミンと3-(ペルフルオロアルキル)プロピルブロミドの反応により得られたN-(3-(ペルフルオロアルキル)プロピル)エチレンジアミンを出発のコアに用い、アクリル酸メチルによるMichael付加反応と生成したメチルエステルと大過剰のエチレンジアミンの反応を繰り返すDivergent法に従い合成した。世代数は1~3とした。また、炭化水素鎖をもつデンドリティックポリマーは、ヘキサデシルアミンまたはエチレンジアミンとヘキサデシルブロミドの反応により得られたN-ヘキサデシルエチレンジアミンを出発のコアに用い、アクリル酸メチルによるMichael付加反応と生成したメチルエステルと大過剰のエチレンジアミンの反応を繰り返すDivergent法に従い、同様に合成した。世代数は1~5とした。さらに、ジドデシルアミンをコアとして、Divergent法により、2本鎖のデンドリティックポリマーを合成した。各種デンドリティックポリマーの末端アミノ基に糖鎖であるラクトビオン酸を作用させて、デンドリティック多糖ポリマーに誘導した。構造は^1H NMRおよびESI-MSにより確認した。これらの両親媒性デンドリティックポリマーは、従来の界面活性剤と同様に低い臨界ミセル濃度および表面張力などの高い界面活性を発揮し、水溶液中での会合体のナノ構造はデンドリマーの数ならびに世代数に大きく依存することが明らかとなった。また、合成した炭化水素系デンドリティックポリマーを保護剤として、数nmのサイズの揃った金ナノ粒子が調製できることがわかった。
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