研究概要 |
種々の2構成分子を組み合わせることにより、発光性超分子ホストシステムの構築を目指した。 1. 光学活性超分子ホスト発光体の創製を指向して、9,10-dihydro-9,10-ethanoanthracene-11,12-diamineと1, 1'-binaphthyl-2,2'-dicarboxylic acidを組み合わせたところ、一次元helical column骨格を有する、また1, 2-diphenylethylenediamineとN-phenyliminodiacetic acidを組み合わせたところ、二次元層状構造を有する、光学活性超分子ホスト錯体の創製に成功した。 2. π共役拡張型光学活性超分子ホスト発光体の創製を指向して、光学活性分子 (1R,2S)-2-amino-1,2-diphenylethanol[(1R,2S)-1]と、発光性分子4-biphenylcarboxylic acid(2)、4-phenylethynyl benzoic acid(3)、4-[2-(4-methylphenyl)ethynyl]-benzoic acid(4)を用い、その錯形成挙動・発光特性について検討した。(1R, 2S)-1と発光性分子2、3、4のMeOH混合溶液を調整し、錯体・結晶化させたところ、それぞれ錯体結晶(I-III)を得た。X線結晶構造解析を行ったこところ、すべての錯体において2つの構成分子は、カルボキシル基とアミノ基による水素結合及びイオン結合ネットワークで結ばれた2_1-helical columnを構築していた。興味深いことに、これら錯体は、このcolumn間に形成されたチャンネル型空孔内に、ゲストMeOH分子を一次元的に包接していた。錯体IとII、あるいはIIIと比較したところ、構成発光性分子の分子長が増加するに従い、チャンネル型空孔内の、包接分子数は増加していた。得られた錯体の発光特性について検討するため、これら錯体の固体状態蛍光スペクトルを測定したところ、錯体は消光することなく発光特性を示した。
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