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2009 年度 実績報告書

高活性酸素発生触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20750123
研究機関分子科学研究所

研究代表者

和田 亨  分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (30342637)

キーワードエネルギー変換 / 水の酸化反応 / 触媒 / 複核錯体 / 反応機構 / 共鳴ラマン / 酸化還元
研究概要

近年、エネルギー・環境問題の観点から、新たなエネルギー変換システムとして燃料電池が注目されている。燃料電池の燃料である水素は、現在は石油から製造されており、根本的なエネルギー問題の解決には至らない。そこで太陽光エネルギーを用いて無尽蔵に存在する水を水素と酸素に分解する反応が注目されている。水素発生反応は二つのプロトンを還元する2電子過程の反応であるのに対して、水の酸化による酸素発生は4電子過程であり、より困難な反応である。本研究課題実施以前にすでに、ビス(ターピリジル)アントラセンを用いてキノン配位子を有する二核ルテニウム錯体が水の酸化反応に対して触媒活性を有する事を明らかにしていた。しかし、その反応機構、特に2分子の水から酸素-酸素が形成される過程のメカニズムは不明であった。反応機構を解明する事は、更なる高活性の触媒を設計するための重要な情報を与えるため、分子性触媒の開発には不可欠な研究である、本研究課題では、同じくビス(ターピリジル)アントラセンを二核化配位子とし、ビピリジンを有する二核ルテニウム錯体を合成した。この二核ルテニウム錯体は酸化剤としてCe(IV)存在下で水の酸化反応に対して触媒活性を示す事が分かった。反応中の錯体の変化を共鳴ラマンスペクトルで追跡したところ、Ru-O-O-Ru結合の形成が確認された。この結果は、水に分子から酸素-酸素結合が形成されることを明らかにした最初の例であり、今後より高活性な錯体触媒を開発する上で重要な知見となるものである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Characterization of Redox States of Ru(OH_2)(Q)(tpy)^<2+>(Q=3,5-di-tert-butyl-1,2-benzoquinone, tpy=2,2':6',2"-terpyridine)and Related Species through Experimental and Theoretical Studies2009

    • 著者名/発表者名
      Tsai, M.-K., Rochford, J., Polyansky, D.E., Wada, T., Tanaka, K., Fujita, E., Muckerman, J.T.
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry 48

      ページ: 4172-4383

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanism of Water Oxidation Catalyzed by Dinuclrear Ruthenium Complex2010

    • 著者名/発表者名
      和田亨・田中晃二
    • 学会等名
      日本化学会第90春季年会
    • 発表場所
      近畿大学(大阪府)
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] Water Oxidaiton Catalyzed by Bis(ruthenium-bipyridine)Complexes Bridged by bis(terpyridyl)anthracene2009

    • 著者名/発表者名
      和田亨・田中晃二
    • 学会等名
      The 2nd Asia Conference on Coordination Chemistry
    • 発表場所
      南京(中華人民共和国)
    • 年月日
      2009-11-03
  • [学会発表] ビス(ターピリジル)アントラセンで架橋したビス(ルテニウムービピリジン)錯体による水の酸化反応2009

    • 著者名/発表者名
      和田亨・田中晃二
    • 学会等名
      第59回錯体化学討論会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎県)
    • 年月日
      2009-09-26

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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