研究概要 |
シックハウス症候群を引き起こすホルムアルデヒド、アセトアルデヒドガスやその他の揮発性有機化合物(VOC)などの有害ガスによって我々の安心で安全な生活が脅かされつつある。これらの有害な有機系ガスを分解除去、無害化するのに有効な方法の1つに光触媒反応による酸化分解除去がある。現在までに紫外光が豊富な屋外で機能する光触媒(特に酸化チタン)は十分に研究がなされ幅広く利用されているが、屋内では紫外光線の量が少ないため利用が進んでいない。我々は室内では紫外光は少ないが、可視光線はより豊富に存在することに注目し、可視光に応答する光触媒材料を探索することにした。 最もよく光触媒として利用されている酸化チタンはアナターゼ、ルチル、ブルッカイトといった様々な構造をとることが知られている。このうち、ルチル型酸化チタンに注目し、これとほぼ同じ構造をとるFeTaO_4と固溶体(Fe,Ta)xTi1-xO_2,0≦x≦1)をまず固相反応法を利用して作ることにした。その結果、FeTaO_4の添加量が増えるにつれて可視光を吸収できる量が増加した。吸収のメインはFe3d-t2gとTi3dの間のバンド間遷移で生じているものと考えられ、添加量が多くなるとFe3d-t2gとO2p軌道がハイブリットし、よりバンドギャップが小さくなるものと考えられた。活性はx=0.01導入した固溶体が最も活性が高かった。また、合成方法を固相反応法から錯体重合法に変更して(Fe,Ta)xTi1-xO2,(x=0.01)を作製したところ、より高い比表面積の材料が得られ、可視光での活性は高温焼結ルチル型TiO2より約50倍高くなった。
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