まずDNA Origamiの技術を活用したナノ構造体の設計法およびその調製、さらにはAFMによるイメージング法を習得、確立するため、ナノメートルサイズのウェルが複数組み込まれた200nm×35nmの棒状ナノ構造体の作成を行った。これまで当研究室の研究により、9本のDNAを束ねたU字型のタイルを作成し、これを一次元に配列化させることで幅約40nmのテープ状のナノ構造体の中に10nm角のウェルを等間隔に作成することに成功している。さらにこのウェルの中にビオチンを2分子修飾するとサイズ選択的にちょうど1分子のストレプトアビジンタンパクが取り込むことができ、タンパクナノアレイの作成が可能であることが確認されている。このナノ構造体をDNA Origamiに置き換えることで、構造体内の全てのウェルを区別し、望みの位置、数のウェルのみにストレプトアビジンを取り込み、従来にない精密、かつ強固なタンパクナノアレイの作成に成功した。さらにはこのDNA Origamiを複合化することで、ストレプトアビジンの2次元ナノアレイ化にも成功した。 またRNAの配列選択的切断技術に関しても、さらに改良をすすめた。相補的DNAに結合したアクリジンによるRNAの活性化機構が、プロトネーションした環内窒素による酸触媒効果によるという過去の知見に基づき、3-位にニトロ基を有するアクリジンを基礎に7-位の置換基を様々に変えたところ、従来高いRNA活性化能を示していたメトキシ基よりも、さらにかさ高いイソブトキシ基やエトキシ基がよりRNAを活性化することを見いだし、より迅速なRNAの配列選択的切断活性の実現に成功した。
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