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2008 年度 実績報告書

スピン転移を利用した有機薄膜素子の特性制御

研究課題

研究課題/領域番号 20750148
研究機関熊本大学

研究代表者

松田 真生  熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80376649)

キーワード有機薄膜素子 / スピン転移 / スイッチング現象 / スピンクロスオーバー / 電界発光
研究概要

本研究では、スピンクロスオーバー錯体の薄膜を作製し有機薄膜素子に組み込むことで、スピン転移を利用した有機薄膜素子の特性制御を目指している。スピン転移が素子特性の鍵となる要素を劇的に変調するスイッチとなれば、新しいメモリ素子やセンサーとしての利用も期待される。
今年度は、薄膜化可能なSCO錯体の探索をしつつ、すでに薄膜化に成功していた[Fe(dpp)_2](BF_4)_2(dpp=2, 6-di(pyrazol-1-yl)pyridine)錯体に関して、クロロフィルa(Chl a)の混合膜を用いた電界発光素子を作製した。300Kでは3Vの印加電圧でChl aに由来したスペクトルが明確に確認できるが、200Kまで冷やすとChl a由来の発光が消失した。続けて素子を300Kまで昇温すると、再びChl a由来のELスペクトルが観測され、EL発光のON/OFFのスイッチングは温度の上昇・下降に伴い繰り返し再現できる。温度依存性の測定から260K付近でChlaの発光が消失していること、低温で印加電圧を上昇させても発光が観測されないことが分かった。この260Kという温度は、[Fe(dpp)_2](BF_4)_2のスピン温度と一致する。[Fe(dpp)_2](BF_4)_2を含まないChl aだけからなる電界発光素子では200Kでも3VでChl aに由来したELスペクトルを観測できることから、260Kより低温でのEL発光の消失は活性層に取り込んだ[Fe(dpp)_2](BF_4)_2のスピン転移によって引き起こされていることは明らかで、本研究の当初目的である「スピン転移を利用した有機薄膜素子の特性制御」の発現を達成できた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Reproducible on-off switching of the light emission from electrolu minescence device containing a spin crossover complex2008

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 雑誌名

      Thin Solid Films 517

      ページ: 1465-1467

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A relationship between molecular orientation and current-voltage characteristics in poly(3-hexylthiophene) thin film2008

    • 著者名/発表者名
      小簑剛
    • 雑誌名

      Chemistry Letters 37

      ページ: 690-691

    • 査読あり
  • [学会発表] スピン転移が引き起こす電界発光消失の機構考察2009

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 学会等名
      日本化学会第89年会
    • 発表場所
      日本大学船橋キャンパス
    • 年月日
      20090327-30
  • [学会発表] Electroluminecsence Quenching in the EL Device Containing a spin crossover complex2008

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 学会等名
      International meeting on Molecular Electronics
    • 発表場所
      フランス・グルノーブル
    • 年月日
      20081208-12
  • [学会発表] スピン転移に伴う電界発光消失2008

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 学会等名
      第7回有機EL討論会
    • 発表場所
      金沢市文化ホール
    • 年月日
      20081120-21
  • [学会発表] スピン転移に伴う電界発光の消失2008

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋季大会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      20080920-23
  • [学会発表] スピンクロスオーバー錯体を含んだ有機EL素子の特性変調2008

    • 著者名/発表者名
      松田真生
    • 学会等名
      第6回有機EL討論会
    • 発表場所
      科学未来館
    • 年月日
      20080613-14

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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