イミダゾリウム塩を用いた非水系電解液中での酸化ルテニウム系電極の擬似容量を応用したデバイスを検討するにあたり、まず実用上意味のある容量値を得ることを目指した。多孔質炭素に酸化ルテニウム微粒子を高分散で担持した電極を作製し、種々のイミダゾリウム塩と四級アンモニウム塩を適用した場合の静電容量を評価した。市販の活性炭にゾルーゲル法を用いて酸化ルテニウムを担持した。得られた複合材料は活性炭の表面に数十ナノメートルの酸化ルテニウム微粒子が担持されている構造を有し、酸化ルテニウムの粒子径および複合材料の表面積は担持量に依存していた。酸化ルテニウムの担持量を種々変化させることにより、酸化ルテニウムの粒子径および表面積が異なる複合材料が得られた。種々の電解液中でそれらの複合電極の静電容量を比較した。四級アンモニウム塩をアセトニトリルに溶解した電解液中では単位表面積あたりの容量は電極に関わらず同程度であったのに対し、1-エチルー3-メチルイミダゾリウム塩からなる電解液中では四級アンモニウム塩電解液中より大きな表面積あたりの容量を示し、擬似容量の発現が裏付けられた。擬似容量の程度は酸化ルテニウムの担持量により異なっていた。全体としての単位重量あたりの容量も、担持量によってはもとの活性炭に比べて大きな値を示した。2極式セルによる定電流充放電試験においても、擬似容量による容量増大効果が確認できた。イミダゾリウムイオンの1-位のエチル基をメチル基に代えた塩を合成し、同様の手法で擬似容量の発現を調査したところ、同程度の擬似容量を示すことが明らかとなった。
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