多孔質炭素上に酸化ルテニウムRuO_2微粒子を高分散担持した複合電極を調製し、イミダゾリウム塩を含む非水系電解液中での酸化還元(擬似容量)過程を追跡した。21年度は複合電極の調製条件の最適化を行い、またイミダゾリウムイオン種が擬似容量に及ぼす影響を検討した。ゾルーゲル法によりRuO_2を析出させて複合電極を調製する際の塩基を、水酸化ナトリウムから炭酸ナトリウムに変更して複合電極に対する影響を調べた。炭酸ナトリウムを用いて出させることにより、粒子径の小さなRuO_2が担持されており、みかけの静電容量も向上した。最大容量を示すRuO_2の含有量は水酸化ナトリウムを用いた場合と同様18重量パーセントであった。種々の置換基を有するイミダゾリウム塩を適用し、電気化学試験を行った。例えば側鎖にシアノメチル基を有するイミダゾリウム塩を用いた場合、イオン伝導性などはエチル基をもつものよりも低いのにも関わらず、容量は若干増大した。シアノメチル基の置換により、イミダゾリウムイオンの水素結合性が増大したためと推測される。また、イミダゾリウム環の2-位がメチル基で置換された塩を用いた場合、容量は大きく減少した。2-位のプロトンは強い水素結合性を示すことから、この部位を置換することにより水素結合性が低下し、容量が低減したものと考えられる。このような種々のイミダゾリウムイオンを用いた結果を比較することにより、当初の予測通りイミダゾリウムイオンとRuO_2が水素結合的な相互作用を示し、それにより擬似容量が発現することが示唆された。21年度の検討で得られた成果により、実用デバイスに向けた電極および電解液構成の最適化に対する道筋をつけることができた。
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