ナノゼオライト/希土類カチオン/有機物のハイブリッド化により1粒子で、RGB3色の発光を示すナノ結晶の創製が報告されている。このように不均一系の利用の中でもゲスト分子のシリカホスト材料への導入は発光特性を制御できる可能性を持つ。層状無機化合物は層間距離を変化させることにより様々な大きさの分子を層間に取り込むことができる。特に層状ケイ酸塩は層間に多くのOHまたはO-基が規則的に配列しているので、多くのゲスト分子を規則性を持って収容できると考えられる。発光材料としてイリジウム錯体は高い量子収率を示すことから注目を集めている。しかも、イリジウム錯体を不均一系へ導入した無機有機ハイブリッド系は自己消光による発光効率の低下を抑えることが期待される。本研究では、ホスト化合物である層状ケイ酸塩中でのイリジウム錯体の合成を試み、合成したイリジウム錯体-層状ケイ酸塩系の発光特性の変化について検討した。 ICP分析ではC16TMA-Ir-Octosilicate、Ir complex-C16TMA-Octosilicateにおいて、Ir元素の存在が確認された。SEM像より、反応の前後で粒子の形態に大きな変化は観察されなかった。また、Ir complex-C16TMA-Octosilicateでは、吸収スペクトルのうちイリジウム錯体に由来するMLCT吸収が370nm付近に、発光スペクトルのピークが549nmに現れ、発光に対する励起スペクトルのピークが350nmに観測された。以上のことから、層状ケイ酸塩間でのイリジウム錯体の形成が確認された。
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