窒化アルミニウムに窒化ケイ素共存のもと発光中心として希土類Euを添加した生成物は、紫外線励起や電子線励起でEuからの青色発光を示す。ウルツ型構造中でどのようにEuが存在しているか不明であったが、透過型電子顕微鏡(TEM)観察からは、Euが積層欠陥構造を生成しウルツ型構造中に存在していると予想されている。本研究では、X線吸収スペクトル(XAFS)測定、詳細なTEM観察を用いて積層欠陥構造について調べた。 X線吸収スペクトル測定のXANES領域の結果では、Euは2価のみで存在しており、3価のEuの共存は観測されなかったEXAFS領域データでEu周りの配位構造を調べると、アニオン12配位のモデルで解析することができた。また原子間距離は0.31nm程度の比較的大きな値であった。通常、Eu2価を含む窒化物蛍光体は赤色など長波長域に発光波長を持つことが多いが、本窒化アルミニウム蛍光体は青色発光を示す。大きな配位数、大きな原子間距離が青色発光の原因の一つと考えられた。TEM-EDSの元素マッピング測定の結果、Euの濃度は積層欠陥領域で大きくなっており、それ以外のウルツ型構造中には観測されなかった。Euが積層欠陥を生成することが明確に確認された。また他の構成元素であるAlやSiでも濃度の偏りが見られ、Euの積層欠陥の生成に関連していると考えられた。
|