研究課題
生物は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの無機物をタンパク質や脂質などの有機物で修飾することで、骨や甲殻等、優れた物性を持つ有機-無機ハイブリッド材料として高度に活用している。この様に生物が生体の内外に無機鉱物結晶を作る作用を「バイオミネラリゼーション」といい、生成される無機鉱物に富んだ組織を「バイオミネラル」と呼ぶ。バイオミネラリゼーションの現代科学的研究は、日本に於ける真珠の研究に端を発し、最近では「歯や骨などの再生医療」・「無機有機ハイブリッドなどの材料工学」の見地からも国際的に注目されるようになってきている。バイオミネラルの形成メカニズムは、大部分を占める無機物が微量の有機物によって制御されていると考えられているが、その詳細は未だ明らかになっていない。本研究においては、中性子散乱法を駆使する事でバイオミネラルの微細構造解析を行い、コロイド科学や界面科学などの物理化学的手法でバイオミネラリゼーションの研究を行い、「有機-無機相互作用」という観点から分子論的にバイオミネラリゼーションを明らかにする事を目的とする。本年度は、合成高分子であるポリアクリル酸存在化での炭酸カルシウムのミネラリゼーション過程制御の研究を行い、光散乱法等を用いてナノ粒子が安定に存在することの確認及びその条件の決定を行った。これらの知見は、最終年度に行う予定のコントラスト変調中性子散乱実験の為に必要不可欠なものである。
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