研究概要 |
本年度は、以下の三点[ブロモ化・アルキル化・重合]について検討を行った。 第一に、ジナフトフラン分子を高分子主鎖に組み込むための二官能基化について検討を行った。その結果、ビナフトールからの3, 3'-ジブロモジナフトフランおよび6, 6'-ジブロモジナフトフランの合成条件を確立した。 第二に、モノマーおよび生成ポリマーの溶解性の付与を目指し、上記ジブロモジナフトフランに対し、ブロモ基が導入されていない位置での位置選択的アシル化およびカルボニル基の還元によるアルキル基の導入を試みた。その結果、6,6'-ジアルキル-3,3'-ジブロモジナフトフランを合成することはできたが、逆の置換形式である3,3'-ジアルキル-6,6'-ジブロモジナフトフランの合成は困難であった。これは後者の合成において3,3'-位のカルボニル基の還元が効率よく進行しないためであると考えられる。他の還元剤での検討および合成経路の変更を今後行う必要がある。 第三に、ジブロモジナフトフランの重合反応への展開を試みた。まず、芳香族ジアセチレン化合物とのSonogashiraカップリング重合の検討を行った。しかし、生成ポリマーの低溶解性、反応系内に添加したアミンによるフラン環の一部開環反応の進行などにより、目的とする高重合度の高分子発光材料は合成困難であることが分かった。塩基によるフラン環の開環反応を抑制するため、より弱い塩基性条件下での重合が可能なカップリング反応(鈴木カップリング反応やHeck反応)による高分子材料の合成、および長鎖アルキル基の導入による生成ポリマーの溶解性の改善について引き続き検討が必要である。
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