アルミノシリケートナノファイバーであるイモゴライトは透明性、吸脱水特性、高表面活性等の特性を有しているため、応用材料としての利用が検討されている。しかし、比表面積が大きく、強固な分子間相互作用により大きな会合体を形成し、ナノファイバーの構造形態および凝集制御が困難であるため、応用材料としての進展が無いのが現状である。そこで本研究ではイモゴライト表面・界面の精密構造を設計することによりナノファイバーの凝集構造制御と共にナノファイバーへの機能性付与を行い、材料応用への可能性の模索を目的とする。 平成21年度は引き続きイモゴライトの形状および凝集構造制御を目的としてイモゴライトの合成制御を行った。マイクロ波の4時間照射により、イモゴライトのファイバー形態が確認されたが、長さが十分ではなかった。8~12時間照射することで、ファイバー長が十分に伸びたイモゴライトが確認されたことから、十分なマイクロ波照射により、イモゴライトの成長制御が可能であることが確認された。更にイモゴライトの形状制御を行うため、イモゴライトに含まれるケイ素成分の代わりにゲルマニウムを添加したGe-イモゴライトのマイクロ波による調製を行った。しかし、この系はファイバーではなく粒子状の形態が得られ、マイクロ波照射によりイモゴライトではなく新しいナノ粒子の存在が示唆された。今後このナノ粒子について評価を行う予定である。またイモゴライトを固定化する基板を、ナノインプリント法により調製した。イモゴライトを選択的に固定化するまでに至らなかったが、PSナノ粒子は基板の形状に沿って配列することが確認され、この基板を用いて、イモゴライト配列の可能性が示唆された。
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