研究課題
本研究では、MOVPE法によるInNのP型伝導制御を目標として、InN結晶中に多数存在する貫通転位の低減を目下の課題として、低転位化技術の確立を目的に研究を遂行してきた。具体的には、InN成長中のモード制御による転位の横方向へのベンディングを利用した技術を始め、選択成長を用いた技術まで、様々の方法を試みた。H20年度の研究において、InN成長初期に3次元ピラミッド成長から2次元横方向成長に移行することで転位低減効果を確認できたことから、さらなる低転位化を目指し、H21年度はGaAs(111)B基板上に形成したSiO_2マスクパターン上へのInN選択成長を試みた。その結果、600℃以下の成長ではSiO_2マスク上に多結晶のInNが析出し、選択成長が起こらないが、600℃以上に成長温度を増加することでSiO_2上には成長せず、マスクの開口部にのみ(1011)ファセットに囲まれたピラミッド状のInN結晶を選択的に成長できることが見出された。また、成長時間を増加すると、InNとGaAsの界面においてInNの分解が生じ、結晶性の悪化が確認された。したがって、InN選択成長による転位低減のためには、InNの高速成長もしくは耐熱性をもつピラミッド、例えばInGaNやGaNの選択成長層の挿入が必要であると考えられる。また、円形マスクパターンの開口径、パターン間隔の最適化、および供給V/III比の最適化による成長温度低温化により、InN成長においても選択横方向成長による低転位化が可能になると考えられる。
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Physica Status Solidi C (印刷中)
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