研究概要 |
半極性面GaNの結晶欠陥の低減を目的としGaNの選択再成長法を試みた。 はじめに、ストライプパターン加工(113)Si基板上へGaNストライプ選択成長を行った。成長条件を最適化し、GaNストライプの形状を(11-22),(-1-122),(000-1)面で囲まれた三角柱とした。この結晶に対して、マスク材としてSiO_2をスパッタリングにより堆積したところ、(-1-122)面は影になっているためSiO_2がほとんど堆積しないことが分かった。この基板を用いGaN選択再成長を試みた。再成長では、成長時間を25分とすることで、隣り合うストライプ同士を合体させて平坦面を作製した。(-1-122)面上へもわずかにSiO_2が回り込むため、BHFによりエッチングを行い、そのエッチングの時間をパラメータとして、GaNの成長形態を観察した。エッチング時間10secの場合、GaNは(-1-122)面からのみ成長をしていた。30secの試料では、(-1-122)面からの成長に加えて、(11-22)面との境の部分からも成長していた。50senの試料においては、上面の(11-22)面のSiO_2もエッチングされてしまい、通常の再成長と同様に成長していた。これらの結晶をCLにより転位を観察したところ、10secエッチングした試料では、転位密度が3k10^<^7>cm^<-3>以下であることがわかった。一方、30sec、50secの試料では、それぞれ、1×10^<^8>cm^<-3>、4x10^<^8>cm^<-3>程度であり、下面の(-1-122)面からの再成長をすることで転位を一桁減らすことに成功した。このことから、(11-22)GaN成長において、転位は(11-22)面及びC面に伝搬しており、(-1-122)面にはほとんど伝搬していないことが明らかとなった。本手法によりSi基板とGaNの格子不整合に由来する転位をほぼ完全に抑制することが可能であった。以上の結果から、本研究課題の1つである転位の抑制が可能であることを明らかにした。今後、光学的特性との相関を調べることで、半極性面での結晶成長の課題を明らかにしていく。
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