Mn添加GaN(GaMnN)は、半導体でありながら室温で強磁性を示すという新機能材料であり、Mnの価数制御によりその機能をコントロールできる材料であることが明らかになりつつある。本研究は、このGaMnNの磁性特性制御法の確立を目指し、GaNにおいてアクセプターとして働くMgをMnとともに添加した、GaMnN:Mgを作製し、Mn3価/4価の価数混成状態を安定に発現させ、強磁性を発現させることを目的にする。平成21年度には、Mg-Mn同時添加GaN成長を行い、高品質単結晶成膜技術を確立した。また、新たに、スパッタ法により、Mnをはじめとする3d遷移金属添加GaN、AlNおよびこれらの混晶と、非添加GaN、AlNなどの薄膜合成を試みた。遷移金属濃度が20%までの配向性膜を得ることに成功した。これらの膜は、表面、界面平坦性の極めて高い緻密な膜で、電子線マイクロアナリシスによる状態分析により、遷移金属は、窒素に配位されていることが実験的に示された。さらに、X線光電子分光法などにより、スパッタ法によっても、遷移金属添加によりバンドギャップ中に新たなバンドが形成された不純物バンド半導体となっていることが明らかになった。また、これらの連続成膜も行い、磁気トンネル接合構造の形成が可能であることを確認した。これらの膜に、Si、Mgなどのフェルミ準位を変化させるためのドーパントが添加可能であることも明らかになり、スパッタ膜においてもフェルミ準位制御による希薄磁性半導体の磁気制御が可能であることが示唆された。
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