・ 金属コートされたSiカンチレバーを用いて、AFMとSTMの同時測定を室温で行う技術を開発した。表面をAFMとSTM同時に高さ一定モードでイメージングし、両者が異なる物理量を測定していることを実証した。そして、原子上に探針を固定し、相互作用力とトンネル電流の距離依存性を測定し、また、同じ探針で、走査型トンネル分光測定を行い、局所状態密度を測定した。本技術により、同一探針を用いて、表面の同一原子上の相互作用力、トンネル電流、局所状態密度を測定できることを初めて示した。 ・ 相互作用力とは独立の物理量である局所表面電位をAFMをベースとしたケルビンプローブ力顕微鏡法(KPFM)により原子分解能で測定した。KPFMと周波数シフトのバイアス依存性を測定することにより、探針-試料間距離が小さくなるにつれて、局所表面電位が減少することを見出した。そして、表面電位像が得られるメカニズムとして、原子の電気双極子モーメントが探針で誘起されるという現象に基づいた新しいモデルを提唱した。 ・ 二酸化チタン表面で原子分解能フォーススペクトロスコピーを行った。Ti原子上、O原子上で共に引力の化学結合力が検出され、これまでのAFMの画像化機構の問題点を明らかにした。さらに、水酸基が画像化されないパターンのAFM画像が得られることを示し、画像化のモデルを示した。 ・ 二酸化チタン表面上にK原子を吸着し、K原子の吸着サイトを明らかにした。また、K原子間に斥力が働いている様子を観察した。さらに、AFMの探針を用いてK原子を操作できることを示した。
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