研究概要 |
2013年頃以降の次世代LSI製造用リソグラフィ光源として, 波長13.5nmの極端紫外光(EUV : Extreme Ultraviolet)源が世界的に注目されており, 実用化へ向けた研究開発が盛んに行なわれている. レーザー生成プラズマが最も有効なEUV光発生方式として期待されており, 光学系の寿命低下を引き起こすデブリを低減しEUV発生効率を高めると有望視されているドロップレットターゲットを利用したレーザー生成プラズマの特性を解明することを目的とし, 研究を行なった. 平成20年度の研究成果は以下の通りである. 1)マイクロドロップレットからのデブリ特性評価 本研究にて開発した簡易ドロップレット生成装置にて作成した直径30μmのスズドロップレットを作製し, 画像LIF分光計測および高時間分解シャドウグラフイメージングによりマイクロドロップレットからの中性原子, イオン等のデブリ計測を行なった.その結果, Nd : YAGレーザーの出力に応じたドロップレットターゲットの膨張過程を詳細に計測でき, 中性原子はターゲットを中心に全方向へ放出することが確認された.また, イオンはレーザー入射側にcos^6θ分布で放出し, 数keVの平均エネルギーを持つと見積もられた. 2)照射レーザーの違いに対するプラズマ挙動の比較調査 EUV変換効率の高いCO_2レーザーをドロップレットターゲットに照射してプラズマ挙動を調査したところ, CO_2レーザー照射の場合にはターゲットがほとんど膨張せずにターゲット質量が有効に利用されず, 一方, Nd : YAGレーザーの場合には出力に応じてターゲットが膨張することが確認された.このことから, CO_2レーザーの高変換効率を生かすためにターゲットをあらかじめ膨張させるダブルパルス手法が有効であることを示唆する結果が得られた.
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