研究概要 |
2013年頃以降の次世代LSI製造用リソグラフィ光源として,波長13.5nmの極端紫外光(EUV : Extreme Ultraviolet)源が世界的に注目されており,実用化へ向けた研究開発が盛んに行なわれている.本研究では,スズドロップレットターゲットを利用したレーザー生成プラズマEUV光源の特性を解明することを目的とし,研究を行なった.平成21年度の研究成果は以下の通りである. 1) ダブルパルス方式を用いたレーザー生成プラズマの特性調査 ドロップレットターゲットに対してEUV光への変換効率の向上のためにダブルパルス照射を行なう手法が考案されている.そこで,簡易ドロップレット生成装置にて作製した直径30μmのスズドロップレットに対し,プレパルスとしてNd:YAGレーザー(1064nm),メインパルスとしてCO2レーザーを照射し,画像LIF分光計測と高時間分解シャドウグラフイメージングによりマイクロドロップレットの挙動計測を行なった.その結果,プレパルスにより膨張したドロップレットがメインパルス照射により蒸発している様子が確認された.一方,プレパルスにより生成される高速中性原子はメインパルスによってイオン化させることができないため別のイオン化対策が必要であることがわかった. 2) 固体および液体ドロップレットからのデブリ放出分布調査 実用EUV光源では100kHzのレーザー繰り返し運転を想定しているため,レーザー照射に合わせてターゲットを高速供給するために液体ドロップレットが有望視されている.そこで,固体と液体のドロップレットターゲットを用意し,それぞれのアブレーション挙動を計測した.その結果,液体ドロップレットにおいても,固体ドロップレットと同様にプレパルスによって中性原子が全方位に放出されることを確認した.したがって,固体ドロップレットにおける挙動結果は,実用液体ドロップレットターゲットにおいても同様に適用されることがわかった.
|