研究概要 |
量子ドットレーザは, 高い温度特性, 低消費電力性を有することから, LSI上光源に適した発光デバイスであると期待される. 平成20年度は, 「Si基板上への量子ドットレーザ集積化技術」の実現を目指し, 以下の研究開発を実施した. 1. GaAs/Si異種接合技術の向上 GaAs/Si異種接合技術の向上を目指し, ウエハ接合条件の改善を試みた. 特に, 加熱時の温度不均一性を避けることで, 接合状態が改善されることが分かった. 2. 異種接合プロセスの量子ドットに与える影響の評価 上記異種接合技術を用いて, SI基板上への量子ドット光源の集積化を実現した. さらに, 量子ドットの発光特性評価を行い, 異種接合プロセス前後で, 同等の良好な発光特性を得た. 本研究では, 低温加熱(235℃)によってGaAs/Si異種接合を実現しており, 量子ドットに与える影響は十分小さいと考えられる. 3. Si基板上量子ドットレーザに必要となる上面二電極構造作製技術の開発 基板上面にp型, n型電極を配置した上面二電極構造作成技術の開発を実施した. 本年度は, 主に, 異種接合前のGaAs基板を用いて, 上面二電極構造作成プロセスの開発, 条件出しを実施した. 現在, Si基板上に集積したGaAs薄膜に対する適用を開始した段階である. 4. 上面二電極型量子ドットレーザ評価のための測定装置を改良 上面二電極型量子ドットレーザ評価のための測定装置の改良を行い, 特性評価に支障がないことを確認した. 今後は, 上記要素技術を用いて, Si基板上量子ドットレーザの試作, 基礎特性評価, また, デバイス設計に関する検討を行う予定である. 「Si基板上への量子ドットレーザ集積化技術」の確立は, 国内の優れた「量子ドットレーザ技術」と「Si-LSI, Siフォトニクス技術」の融合へ向けた重要な第一歩であり, 新しい融合研究分野の開拓, 革新的なデバイスの実現が期待される.
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