3次元的に6方向から負離調の円偏光レーザを照射し、アンチヘルムホルツコイルによって四重極磁場を印加することによって磁気光学トラップを行い、原子泉用の高さ2m以上におよぶ超高真空装置内に冷却セシウム原子集団を生成した。この実験のためには、真空チャンバの部品の調達から始めて、コンポーネントの組み立ておよび真空引きを行う必要がある。また、セシウム原子のエネルギー線幅に比べて細い線幅を持つレーザの周波数の高精度制御や、直径1cm程度のレーザを6方向から照射することなどが必要である。冷却原子集団生成の次のステップとなる冷却原子ビームの生成では、すでに作製したこれらの実験系を用いる。レーザの周波数やオンオフのタイミングを調整する必要があるが、こうした実験パラメータを調整するための音響光学変調器や電磁シャッターもすでに実験系の中に構成されているので、冷却原子ビームを生成および評価するための実験の準備はすでに完了したといえる。 また、超高真空装置内へマイクロ波共振器を導入するためのジグを設計・発注した。加えて、所有しているマイクロ波共振器の共鳴周波数を真空下で測定し、セシウム原子の遷移周波数に十分にマッチしていることを確かめた。また、原子とマイクロ波との相互作用領域の残留磁場をキャンセルするためのパーマロイ磁気シールドもすでに設計・発注した。これらの仕事によって、ラムゼー共鳴を用いて周波数測定するために必要な超高真空装置内へのマイクロ波共振器の導入の準備が整った。
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