電磁表面波発振器の共振器であるコルゲート版を、アルミ板にNCフライスで波形加工を施し作製した。工作精度限界より、コルゲート振幅が0.2mm程度浅くなった。このため、発振周波数特性の僅かな低下が見込まれる。タイル上に並べることで共振器のサイズが換えられるよう、分割作製した。 電磁表面波の伝送特性を調べるコールド試験が必要である。X-BANDで伝送試験を行うための送受信アンテナを、セミリジットケーブルを利用して作製した。伝送試験において、電磁表面波だけを計測するため、電磁表面波以外のエバネッセント波が反射して戻ることを防がねばなら無い。また、真空容器内に共振器を収めるに当たり、一般的に使われる吸収剤は、スポンジ状のため不都合が予想された。そこで、特定波長の電磁波を逆位相で反射する事で反射を打ち消す、北川工業のレスミラーと呼ばれる吸収剤を入手した。また、スペクトラムアナライザーの代替器として、デジタル移動無線送信機テスターを入手した。5.5GHz以下の周波数伝送テストに用いる事が出来、また、ディテクターを交換することでX-BANDまでの計測が可能となる。 表面波発振器は、電子ビームを電力源とする発振器である。このため、高電圧電源から発生される直進高電圧電子ビームを、共振器表面近傍にガイドする必要がある。このガイド磁場のためのコイル線材を確保した。伊達巻と呼ばれる多層巻きコイルの作製を想定し、平角線とした。コイル作製において、強度の補強が問題にならぬよう、太目の4mm×2mmのものを選んだ。テスト動作試験として、小電流高電圧電源を利用した定常発振試験が出来るよう、30A直流電源を確保した。
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