研究概要 |
身の回りには、地震、風や交通による構造物のゆれ、手を振ることや居眠りで首が揺れる人間の動作などの多くの振動が存在する。これらの振動において、設定値以上の振動を加えると動作する振動のリミットスイッチである。その構造は、同極を向かい合わせた永久磁石とその間のどちらかの磁石に鋼などの磁性体を吸着させたもので構成する。このときの磁性体が反発磁石間の間隔によって磁化状態が変化するため、反発から吸着への構造変化を引き起こす現象を利用する。身の回りに存在する振動を受けて、この構造変化を引き起こし、吸着させたときに導通させることによってスイッチとなる。また、工作機械における軸ズレの微振動を検知して、無給電で光や音で知らせるシステムである。パソコンなどの識別装置や配線が不要なため携帯することが容易となり、駆動のための電池を必要としないため環境に優しい。 このスイッチの設計や物理的な限界を知るためには、様々な構造においての定量的なパラメータが必要となる。そのため、振動パラメータであるバネ係数や減衰係数で表される振動方程式を用いて、周波数応答結果から振動パラメータを導出し、構造の長さについて、振動パラメータを定量化した。一方で、振動リミットスイッチでの反発磁石間の磁性体の磁化状態の観測や反発・吸着力を測定し、スイッチとして動作後に安定する構造を示してきた。 導出した結合時のバネ係数や減衰係数と,反発力の最大値と吸着力との相関は調査したところ次のようになることがわかった。 (1) バネ係数は,反発力の最大値が大きくなれば大きくなり,吸着力が大きくなれば小さくなる。 (2) 同様に、減衰係数は,反発力の最大値が大きくなれば小さくなり、吸着力が大きくなると大きくなると考えられるが、磁石と磁性体によって生じる渦電流による減衰も影響することがわかった。 これらの関係を構造である磁性体の長さを用いて、数式として定量的に表すことができた.
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