研究課題
本研究の目的は、高レイノルズ数3次元非圧縮性乱流における、ウェーブレット解析に基づく非経験的なモデル化(CVE)手法を開発、大規模データ解析・大規模数値シミュレーションによるモデルの検証、及びその信頼性の定量的評価を行うことである。平成21年度に得た成果の概要を以下に示す。1. CVE手法の自由度を更に縮約する手法について検討した。最も規範的な乱流である3次元一様等方性乱流に対して適用した結果、前年度開発したCVE手法に比べ、約半分(大規模直接数値計算の約10分の1程度)の自由度だけで、乱流統計量のみならず渦構造をもよく再現することがわかった。レイノルズ数が高いほど、CVE手法によるシミュレーションに必要な自由度が減少することも示した。2. 前年度開発した、電磁流体乱流に対する秩序渦・電流シート抽出手法を、規範的乱流場のひとつである周期箱中の3次元一様等方性電磁流体乱流の大規模DNSデータに対して適用した。抽出された秩序構造が乱流場をよく再現することを示した。秩序渦構造、秩序電流シート構造のウェーブレット空間における重なりの程度などを定量化した。3. 固体壁を境界にもつチャネル乱流の秩序構造を、一般化したCVE手法を用いて抽出し、乱流統計量の壁からの距離依存性について調べた。チャネル中央付近に比べ、壁付近では間欠性が強いこと、秩序構造の自由度が少ないことなどを示した。これらの結果は、計算科学的乱流モデル、特に乱流の適合格子シミュレーション手法に基づく乱流モデルの開発の基礎的なデータとして重要であるだけでなく、CVE手法が様々な高レイノルズ数乱流の計算に有望であることを示唆している。
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