研究概要 |
境界節点法(BNM)を用いて楕円型偏微分方程式の境界値問題を解く場合には, 境界要素法とは異なり, 前処理として対象領域の境界を要素の集合に分割する必要がない. それ故, 入力データを著しく簡素化できる. しかしながら, BNMでも境界積分を評価する場合, 境界を積分セルの集合に分割しなければならない. この操作には要素分割とほとんど変わらないコストが伴う. 一方, コンピュータ・グラフィックスの分野では物体表面を陰関数によって表現する方法が, 近年, 注目を集めている. 同法では, 物体表面上の節点データから陰関数を決定し, その零等値面を描くことによって, 物体表面の形状を再現するのである. 陰関数曲面を用いて境界積分を評価できれば, BNMの欠点を完全に解消できる. 20年度の研究では, 陰関数曲面法に基づいた積分セルを用いない2次元BNMを開発することを目指した. この目的のため, 同法を二重相反法(DRM)と比較することによって, 同法の性能を評価した. 本年度の研究により, 境界節点数, 境界条件, 境界形状に依存することなく, 提案法はDRMより高精度であることが示された. さらに, 提案法はDRMとほとんど同じ計算速度を示すことも判明した.
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