研究概要 |
メッシュレス法の一種であるElement-Free Galerkin法(EFGM)や境界節点法(BNM)を用いて楕円型偏微分方程式の初期値・境界値問題を解く場合,前処理として対象領域の領域や境界を積分セルの集合に分割しなければならない.何故ならば,積分セルを用いて,EFGMもBNMも領域積分や境界積分を数値的に評価しなければならないからである.しかしながら,積分セルを用いることは要素を作成することとほぼ同じであるため,要素分割とほとんど変わらないコストを前処理に要してしまうことになる.結局,メッシュレス法には要素の概念が一部残ることになる.一方,コンピュータ・グラフィックスの分野では物体表面を陰関数によって表現する方法(陰関数曲面法)が,近年,開発された.陰関数曲面法をメッシュレス法に適用できれば,数値積分の評価に対する欠点を完全に解消できる.これまで研究によって,陰関数曲面法に基づいた積分セルを用いない2次元EFGMやBNMを開発し,境界節点数,境界条件,境界形状に依存することなく,提案法は従来法よりも高精度であることを示すことができた.平成22年度には,基本境界条件を弱形式に組み込むためのEFGMの新たな定式化法を提案した.さらに,非線形問題へ適用することにより,提案法と従来法との比較評価を行った.その結果,提案法は従来のEFGMより高精度かつ高速に計算できることを示した.また,新たな定式化法により,提案法は基本境界条件を厳密に満足させることも可能となった.
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