本研究の目的は光ファイバ振動センサを用いた高温構造物の板厚、欠陥形状(特定部位)の定量計測を行い、同時に常時監視(ヘルスモニタリング)を1本の光ファイバで行うことである。本年度は数100度の高温環境下で計測可能なシステムの製作を目指した。具体的には実験で計測される弾性波信号と数値解析により得られる弾性波信号を比較することで高温設備検査の可能性を評価した。高温環境下で材料損傷を定量計測するシステムを製作するために高温セラミクスプレート上で放電計測を行った。また光ファイバ振動センサを固着には数種類の接着剤で試み実用性の評価を行った。本結果の一部は、2010年1月28日-29日に開催された国内会議(第17回超音波による非破壊評価シンポジウム)にて講演発表を行った。これらの成果により、平成21年度の目標である『数100度の高温環境下で計測可能なシステムの製作』はほぼ達成できた。今後、平成22年3月までに実験で計測される弾性波信号と数値解析により得られる弾性波信号を比較することで高温設備検査の可能性を評価する予定である。さらに高温設備の材料損傷計測のほかに、作製したシステムにおけるヘルスモニタリングの可能性を確認する予定である。これらの研究が完了すれば、高温設備を停止することなく危険部位の特定、保守作業の見積が可能になると考えられる。つまりタイムベースメンテナンス(定期検査)からコンディションベースメンテナンス(状態を常時監視)に置換わることが期待される。
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