研究概要 |
本研究の目的は, マクロスコピックなアプローチにより, 骨に生じる全体的な応力・ひずみ状態を実験力学的・計算力学的見地から解析し, 骨吸収の力学的メカニズムの解明を図ることである. 本年度は, 骨モデルに歯科インプラントのフィクスチャーを植立し, 擬似咬合下でのフィクスチャー/骨モデル界面周辺の変位・ひずみ分布挙動を解析した. 骨モデルには, 実際の骨の構造および力学的特性に近い皮質骨・海綿骨の二層構造を模擬したSAWBONES社製のLaminated Test Blockを使用した. 変位分布の解析には, デジタル画像相関法を用いた. そして, フィクスチャーと骨モデル界面が接着されていない即時荷重インプラント周辺の骨変形状態とフィクスチャーと骨モデル界面が接着されている一般的なオッセオインテグレーテッドインプラント周辺の骨変形状態を比較検討し, 以下の結果を得た. 1. 即時荷重インプラント試験片およびオッセオインテグレーテッドインプラント試験片ともに最大ひずみの集中箇所はほぼ同じで, フィクスチャーテーパー部および先端部の海綿骨領域に生じた. 2. 即時荷重インプラント試験片ではフィクスチャー直近の骨で咬合荷重を負担しているのに対し, オッセオインテグレーテッドインプラント試験片では広範囲の骨で咬合荷重を負担していた. 3. 各ひずみの最大値は, オッセオインテグレーテッドインプラント試験片に比べて, 即時荷重インプラント試験片のほうが全て高い値を示した.
|