研究概要 |
近年, イオン導電性アクチュエータが研究され, 人工筋肉やマイクロカテーテルなどに応用されている. そして, このイオン導電性高分子膜と透明導電性膜とを組み合わせることにより, 透明でフレキシブルに曲がるアクチュエータを作ることできる. しかしながら, このようなフレキシブルアクチュエータの機械的な強度・信頼性の検討がほとんど行われていないのが現状である. そこで本研究では, イオン導電性高分子膜に透明導電性膜を成膜した透明なイオン導電性高分子アクチュエータを創製するとともに, 出来上がったアクチュエータについて, 残留応力及び界面付着強度を評価・制御し, アクチュエータ特性の高機能化を行うことを目的としている. そして, 今年度は, Pd電極を用いたイオン導電性アクチュエータの製作とその変形特性評価, および, 透明なイオン導電性アクチュエータの製作を行った. まず, Pd電極を用いたイオン導電性アクチュエータの変形特性評価について, 使用環境(カウンターイオン種, 温度)を種々変えたときの変形特性について調べた. その結果, 水溶液中のカウンターイオンのイオン半径が大きくなるほど, 同じ電場下においてアクチュエータの変形量が大きくなるが, 一方で, 応答性が悪くなることがわかった. また, 濃度が濃くなるほど, 水溶液中の温度が高いほど, 変形量が大きくなることがわかった. これらの実験結果をもとに, はりの初等理論を用いてモデル化を行った. また, ITOを塗布したPETフィルムに, イオン導電性高分子膜を圧着することで, 透明なイオン導電性アクチュエータを製作した. そして, 電場下で動作することを確認した.
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