研究概要 |
本研究では,レーザ光によるシリコンインゴットのスライシング法を開発する.2008年においては太陽電池用途の需要の高まりから,シリコンの価格が高騰しており,より材料を効率的に利用することが要求されている.シリコンはインゴットからワイヤソーでウエハに切断され,利用されているが,切断の際の切りしろが大きい,また力を加えて加工するため,シリコンが割れてしまうことからこれ以上の薄型化が困難であることが問題となっている.この問題に対し,本研究では光ファイバによりレーザ光を加工点まで送り,エッチングを併用することで,より少ない切りしろでより薄いシリコンウエハをスライシングする手法を開発する.本年度は,加工条件の選定や,穴あけ等への応用を検討した.レーザにはパルスYLFレーザの2倍高調波,連続発振のアルゴンイオンレーザを用い,水酸化カリウムに過酸化水素水を加えたものを加工雰囲気として用いた. その結果,(1) 連続発振レーザよりもパルス発振レーザの方が加工速度,加工形状の点で優れていた.(2) レンズを用いて水中加工した場合に比べて,ファイバにより加工部近傍までビームを伝搬することで,気泡の影響などが小さくなり,より安定して除去できることが明らかになった.本手法により直径240μm,深さ4mm,アスペクト比約20の穴あけが実現できた.また,ファイバをバンドルし,それぞれのファイバに入射するレーザのエネルギーをかえることで,曲がり穴加工の可能性を示した.
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