研究概要 |
シリコンカーバイド(SiC)は, シリコン(Si)と比べ, バンドギャップが約3倍, 絶縁破壊電界が約7倍であることなどから, 電力利用の効率化を担うパワーデバイス用材料として有望視されている. しかしながら, SiCはダイヤモンドに次ぐ高硬度, かつ化学的に安定な材料であるため, 加工することが非常に難しく, 有効な加工方法の開発が求められている. 本研究では, 単結晶SiC基板全面(2インチ)を高能率に原子レベルで平坦化できる加工技術を開発することを目的としている. 具体的には, 酸化剤溶媒中において遷移金属微粒子(鉄微粒子)を用いた化学的加工法の開発を行う. 本年度は, 以下の項目を実施した. (1)2インチSiC基板平坦化対応型加工装置の設計および試作を行い, 2インチ基板全面を加工できる体制を整えた. (次年度も継続実施)(2)これまでに試作した簡易型加工装置を用いて4H-SiC(0001)on axis基板を加工し, 加工後の表面を原子間力顕微鏡で評価した. その結果, 加工表面上には周期的なステップ/テラス構造が確認でき, 本研究で行っている加工法の有効性を明らかにした. さらに, 加工する前に基板表面上に存在する表面うねり成分の除去に関する基礎的実験を行った結果, うねり成分の大幅な低減に成功した. (3)SiCと同様にパワーデバイス用材料として有望視されている窒化ガリウム(GaN)基板表面の平坦化可能性を実験的に検討し, 表面粗さをRa2.63nmからRa0.4nmにまで低減することができた.
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