研究概要 |
本申請研究は「揺動制御ラッピング方式による大口径ワークの高平坦化をも包含した超精密任意形状創成技術」を開発することを目的としている.本目的の達成のために平成22年度に実施した成果(要約)は以下のとおりとなる.特に,本研究の目的である「超精密任意形状創成」の達成にはスラリー流れのコントロールは必須と位置づけ,その流れ場の解明に取り組んだものである.その結果, (1)オフセット(小径工具中心と大口径ワーク中心の間隔)が小さい場合,小径工具と大口径ワーク相互間における接触面に対して,右上と左下からスラリーは流入し,接触面右下並びに左上からスラリーが排出される, (2)オフセットが大きい場合,スラリーは接触面の下部から流入し,接触面左上から排出される, (3)接触面の内側におけるスラリー流れは大口径ワークの動きに追従するが,接触面の外側においては小径工具の動きにスラリーは追従する, (4)上記(3)のとおり接触面の外側におけるスラリー流れは小径工具の回転の影響を強く受けるが,オフセットの増加に伴い,その影響は小さくなる, ことをそれぞれ明らかにした.そして,このような成果はスラリーの流れ場を安定させるための最適溝パターンの創成提案,等に繋がるものであり,揺動制御ラッピング方式の適用範囲拡大と実用化,並びにさらなる高精度化を図る上で顕著な意義を有すると言える.今後,この成果をラッピング方式に留まることなく,ポリシングにも応用することを通じて,最適なパッド形状やスラリー供給方法を提案することが可能になるとともに,定量化したスラリーフローの研磨シミュレーションへの適用によって,高精度研磨シミュレーション技術の確立が期待される.
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