研究課題
昨年度に引き続き、静電インクジェット現象を利用した三次元造形物の直接描画技術の開発およびこの応用展開に関する研究を行った。静電インクジェット現象とは、先端にキャピラリーチューブを設けたシリンジに導電性の液体を満たした液体針電極に高電圧を印加すると、チューブ先端に作用する強い静電力によって微小な液滴が連続的に吐出されることを指す。これまでの研究により、静電インクジェット現象は、市販されているピエゾ方式とサーマル方式のインクジェットプリンタよりも高画質で吐出可能であること、高粘性な液体を吐出可能なことという二つのメリットを有することを把握していた。本年度は、これらの特長を生かして、薄膜フィルム表面に焼結不要な電子回路の描画を行った。昨年度は銀ナノパーティクルペーストを利用して電子回路を描画したが、本年度はカーボンペーストを利用することで焼結不要な電子回路を描画した。これにより、耐熱性に難のある薄膜材料表面への電子回路描画を実現した。また、新しい応用展開として、細胞やゼラチンなどのパターニングを行った。高電圧を印加し、細胞を含む液滴を吐出させるが、細胞壁が比較的高抵抗なため、電流は細胞の外側を流れるので細胞が吐出時に死滅しないことを明らかにした。このことを踏まえて、細胞の足場材料(スキャホールド)であるゼラチンの高画質な描画を行った。数マイクロメートルの線幅のゼラチンラインを描画可能であり、細胞の数分の一程度の太さであることから、スキャホールドとして十分に利用可能であることを実証した。この結果を踏まえ、微小な造形物であれば、三次元化が可能なことを示した。
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