研究概要 |
次世代半導体製造装置, MEMS/NEMS, ナノバイオニクス, ナノインプリント, ナノ計測・分析装置等の開発, 発展とともに, 超精密位置決め機構の需要はますます高まってきている。申請者らは, 生来より剛性を有する空圧要素として静圧軸受に着目し, 静圧軸受と空気圧サーボ技術を組み合わせた「空気圧サーボ軸受アクチュエータ」を提案してきた。具体的には, 静圧軸受への供給圧力をサーボ弁によって変化させ, 軸受すきまの変化を出力変位として得る機構である。本申請課題では, 空気圧サーボ軸受アクチュエータを用いた超高精度XYテーブルの開発を目指す。 まずはじめに, 一軸型プロトタイプアクチュエータの改良を行うことにより, その位置決め精度向上を図った。プロトタイプアクチュエータに最適な位置フィードバック制御および外乱オブザーバを適用することにより, 位置決め分解能を5nmから1mmに引き下げることができた。また, 制御の結果, アクチュエータの剛性 (サーボ剛性) はほぼ無限大となった。 次に, 開発した一軸型アクチュエータを6ヶ配置することにより, サブナノメートルオーダでの位置決めを可能とする超高精度XYテーブルを試作した。その際, θ方向にも駆動することができるよう, アクチュエータには球面軸受を用いた。球面軸受型アクチュエータの性能を調べたところ, 非制御であっても, 5mmの位置決め精度を実現することができた。現在, XYテーブルに組み込み, その位置決め精度の調査および制御器の最適設計を行っている。
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