研究概要 |
本年度は,数値計算によるアプローチとしては,「rectified diffusion」による気泡の成長速度のシミュレーション結果をまとめた.様々な周波数重畳波形および様々な大きさの気泡に対して行った結果を解析し,どのような気泡が存在するときに,どのような周波数重畳波形がキャビテーション気泡を成長させるのに有効なのかについてまとめた.まとめた結果は,日本機械学会論文集に掲載された. 実験によるアプローチとしては,音響的性質は水に近く,かつ光学的に透明で,一定以上の温度上昇によって変色するゲルを生体模擬ファントムとして用いる実験を構築した.トランスデューサは1MHzと2MHzそれぞれを共振周波数にもつ圧電セラミックを組み合わせることで,高出力な周波数重畳超音波を照射する装置を開発した.キャビテーション気泡発生を検出する手法としては,分数調波数成分を効果的に引き起こす超音波照射方法を開発した.これによって通常のハイドロフォン,もしくは焦点型のハイドロフォンを用いて,非常に感度良く検出できる.この検出方法はそのほかの超音波実験結果と併せてMedical & Biological Engineering & Computingに掲載された.さらに,キャビテーションによる発熱効果については,ファントムもしくは鶏肉のタンパク質変性による変色というある閾値以上の領域を可視化する手法のみならず,熱電対による温度測定を行い,定量的な評価も行い,キャビテーション気泡による加熱増強効果を定量的に調べた.
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