研究概要 |
本年度は,昨年度までの研究成果を受けて,引き続き理論的・数値的研究および実験的研究の両面から研究の深化を図った.これまで独自に構築してきた二成分系合金ナノ粒子群の集団的成長過程の数理モデルと新規計算アルゴリズムに改良を加えることで,より詳細に成長過程・粒度分布・組成分布を定量的に数値予測できるようになった.結果として,工学的応用範囲が非常に広い金属-シリコン系,鉄-コバルト系,鉄-白金系などのナノ粒子群がプラズマ流端部において集団的成長するメカニズムを明らかにすることができた.さらに,プラズマ材料プロセスに内包される熱・物質移動,混相現象,移動境界を含む相変化といった複雑流動現象を基礎的なレベルから効率的にシミュレートするために,SPH法の適用範囲の拡張に努め,プラズマ流によって形成される溶融池の複雑熱流動計算にも成功した.また乱流遷移過程における流動不安定性に対して基礎過程を明確にしながら制御実験を行ってきたが,本年度は特に伸縮するピエゾセラミックアクチュエータ近傍の流れ場およびストリーク構造の不安定性に関する詳細な計測も行った.さらにキャビティ上部のせん断層に形成される渦構造と音波発生の関係についても,プローブ計測とPIV法による可視化計測により明示することができた.加えて3次元数値計算によっても詳細に解析することに成功し,実験計測とデータ補完することで,制御時の渦構造を含む複雑流動場と音波の関係が明らかとなった.
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