本研究は、超音波によるマイクロバブル生成技術によって、それぞれ別の非塩素系殺菌技術であるオゾン殺菌の化学的殺菌効果と超音波殺菌の物理的殺菌効果の両方を一度のプロセスで得られる新しい殺菌技術を開発することを目的としている。平成20年度の研究では、超音波中空ホーンによってオゾンマイクロバブルを発生させる実験装置の構築とオゾン溶解特性、オゾンガス放出特性の測定を行った。超音波中空ホーンを用いた装置において、ホーン先端出口径を1.0mm、1.8mm、2.6mmと変化させ、同一流量で酸素を供給した場合、2.6mmの酸素濃度上昇が最も早く、径の増大に伴い気液間の物質移動が促進されることが明らかとなった。出口径2.6mmの超音波中空ホーンを用いた装置では個数平均で約50μmのマイクロバブルの生成が可能で、多孔質散気管を用いて供給した場合と比べてオゾン濃度の速やかな上昇と大気中への放出されるオゾンの低減が確認された。一方、オゾンを供給し一定時間経過した飽和濃度においては散気管を用いたオゾン濃度の方が高い値が計測されたが、オゾン供給を止め液中オゾン濃度の低下曲線を確認したところ超音波印加時の低下速度が撹拌のみの低下速度に比べ顕著に大きいことから、オゾンの水中での自己分解が超音波によって促進され、結果として飽和オゾン濃度が下がったものと思われる。オゾンの自己分解に伴い生じるOHラジカルはオゾンよりも更に強い殺菌力を持つため、平成21年度の研究において殺菌効果の増強が期待される。
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