研究概要 |
本研究では、超音波を利用したマイクロバブル発生技術によって、"超音波による殺菌"と"オゾンによる殺菌"を同時に行うことができる"超音波とオゾンマイクロバブルを利用した殺菌技術の開発"を行い、溶存オゾン濃度、液面近傍オゾンガス濃度、大腸菌を殺菌対象とした殺菌率評価をした結果、次の知見を得た。超音波によって発生させたオゾンマイクロバブルを用いることで、一般的な多孔質散気管に比べ総括物質移動係数が2倍となり、殺菌力と比例関係にある溶存オゾン濃度が速やかに上昇した。また、液面近傍に放出されるオゾンガス濃度も多孔質散気管に比べ半分になり、オゾンが水中で効果的に消費されること、および法規制対象である放出オゾンガス濃度を低く抑えられることを確認した。殺菌効果については、水300mL中の大腸菌(ATCC8739,菌濃度:約10^7CFU/mL)を殺菌対象として、超音波とオゾンマイクロバブルによる殺菌を行った場合(15分で滅菌完了)、超音波のみを印加した場合(30分で99%殺菌)および多孔質散気管で液中にオゾンを供給した場合(30分で滅菌完了)と比べて半分以下の処理時間で滅菌にできることを確認した。以上のことから、超音波とオゾンマイクロバブルを用いた殺菌技術は、マイクロバブルの有する良好な溶解特性により、処理水中の溶存オゾン濃度を速やかに上昇させて殺菌力を強めるとともに、超音波の物理的な衝撃力による殺菌を同時に行う相乗効果によって、極めて高い殺菌効果を示すことが明らかとなった。今回得られた知見を生かして、今後は装置のスケールアップや一般的な塩素殺菌では殺菌が難しい対象への応用展開などを図る予定である。
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