研究概要 |
全反射によって生じるエバネッセント光を利用して固液界面数100nm以内の領域の粒子位置を3次元的に測定する3D-TIRFM法をタンパク質などの生体分子に応用することで生化学や医療分析へ測定手法の拡張を目指している. 3D-TIRFMを, タンパク質などの生体物質に応用するためには、より小さな物質を測定可能にするための測定精度の向上が必要である. 本研究では生体物質を修飾させた量子ドットを利用することで測定精度を向上させるだけでなく, 同時に生体分子測定も実現させることを提案した. 初年度は, 測定位置の校正手法の再検討と, 数十ナノメートルオーダの粒子への測定の適用を行った. 被測定粒子を吸着させたプローブをガラス表面へ近づけた際の蛍光輝度と粒子高さの関係を得るという従来の手法に対し, 被測定物をガラス球に吸着させて校正を行う今回提案した手法はより簡便であり, 真球度の高い球を使用することで誤差も小さくすることが可能である. また, 高速度カメラの撮像レートを上げてゲインを上げることで20nm粒子の位置情報を得ることにも成功し, このサイズはアルブミンなどの典型的なタンパク質と同等であることから, 生体分子への適用も可能であると考える. 実際に生体物質を吸着させた量子ドットについても試験を行い, 観察・評価条件についても検討を行った. 量子ドットは褪色の影響が蛍光粒子に比べて少なく, 測定精度の向上が見込めることを示した. また, 測定はシリコーン製の自作マイクロチャネル内で行い, 種々のチップ内分析にも適用できることも検証した.
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