参照粒子との相互相関による粒子の検出アルゴリズムの開発を行い、重なる粒子の分離抽出手法、粒子濃度の決定手法を確立した。また、粒子検出のための標準参照粒子の測定手法を改善し、褪色の影響を考慮することにより、最小直径20nmの粒子まで3次元的に粒子追跡することができた。 この手法を用い、濃度分布に対する粒子サイズ依存性の評価を行った。粒子直径の減少に伴い、van der Waals引力ポテンシャルは小さくなり、直径20nmのナノ粒子では静電反発力が支配的になる。このため、微小な粒子は界面近傍で濃度が減少する。測定した界面近傍における直径20nmと100nmのナノ粒子の濃度分布における低濃度領域は、DLVO理論より算出した、測定と同条件下における粒子・固体壁間の電気的ポテンシャルカーブにおける斥力領域であると良く一致しており、この測定がDLVO理論を実験的に検証していることを示した。 さらに、界面近傍における粒子濃度分布を制御するために、壁面に電位を印加することで界面におけるポテンシャルカーブを変化させる手法を提案した。印加電圧によっては界面近傍における粒子濃度を劇的に増加させることが可能であることを明らかにした。 用いる生体物質の物性が明らかであれば、それから予測される界面・生体物質間のポテンシャルカープに基づいて印加電圧を適切に選択することで、医療分析チップなどの固液界面上の反応を期待通りに向上させることができることを明らかにした。
|