粒子が流体中を拡散するという現象は、自然界においても工業プラントにおいても非常によく見られる。そのため、粒子の運動に及ぼす周囲流の変動の影響を明らかにすることは重要である。それであるにも関わらず、乱流中における粒子の挙動はほとんど明らかになっていない。そこで、一様脈動流中の単一の固体球に対して三次元直接数値計算(DNS)を適用することで、固体球に働く流体力を評価し、固体球に働く流体力に対する周囲流の変動の影響を明らかにした。その結果、一様脈動流中の固体球に働く付加質量力、圧力勾配力および履歴力は粒子レイノルズ数が1程度の場合でも無視できないが、粒子レイノルズ数が100以下であれば、それらに関する既往のモデルを使用することで流体力を正確に予測できることがわかった。また、粒子レイノルズ数が300の場合では、それらの力を考慮しても流体力を正確に予測できないことがわかった。周囲流が定常な場合には三次元的なカルマン渦が見られ、周囲流の変動が小さい場合には、粒子の上側と下側から交互に現れた。しかし、周囲流の変動が大きい場合には、粒子の下流側に軸対称性を持つ渦が発生し、三次元的なカルマン渦が発生しなかった。このように周囲流が脈動になることで後流のカルマン渦が変化するにもかかわらず、既往の相関式は渦の変化を考慮していないために正確に予測できないといえる。
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