研究概要 |
本研究が対象とする水中ウォータージェット装置に関連して,平成21年4月発行の日本ウォータージェット学会「噴流工学Vbl.25, No.3」(査読有り)に「水中ウォータージェットのノズル上流側配管要素がキャビテーション壊食に及ぼす影響」と題して論文が掲載された.この論文により,水中ウォータージェットの応用上極めて重要な問題を指摘し,この間題を回避するための一つの解決法を示したが,その解決法の物理的根拠は不明のままとなった.その根拠を理論的,数値的に明らかにするところにも本研究の意義がある. 前年度,気泡流に対するエネルギー保存の式の導出に先行して単相流の伝熱シミュレーションを行ったが,その際,浮力の項は考慮されていなかったため,現在も浮力の項を付加して計算プログラムを作成中である. また,本研究で前年度まで使用していた付加慣性力の式は圧縮性を考慮していない式であったが,水中ウォータージェットのキャビテーションを扱う上では,付加慣性力についても液体の圧縮性を考慮することが不可欠であったため,他者の2004年の論文の最新の成果を取り入れ,圧縮性を考慮した付加慣性力の式に置き換えた.それまでの成果である物理量の微小な変動の伝播に関する結果にはどちらの式を用いても影響を及ぼさないことを確認した. 本研究で前年度までは流体が静止した状態からの摂動を考えて線形化し理論解析を行ったが,当該年度は一様流からの摂動を考えて線形化を行った.現在それをもとに数学的適切性の評価を行っている. 本研究で並行して実施してきたいくつかの項目の成果を今後融合し,一つの大きな成果としてまとめる予定である.
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