研究概要 |
本提案は冷凍空調機器のサイクル特性を把握するために重要な温度、湿度と油循環量を測定するための光ファイバー型センサシステムの研究開発である。研究開発対象である光ファイバー型センサは光ファイバーのクラッド層の屈折率の温度、湿度依存性を利用した温度、湿度センサと、潤滑油と冷媒との混合割合の変化よる屈折率変化を検出することでサイクル中の油循環量及び圧縮機内の油中冷媒濃度を測定するセンサと二種類に分けられる。光ファイバーを利用した測定は、外部的な電磁ノイズの影響が受けにくい、高圧、可燃性冷媒にも用いられる利点がある。 湿度センサーは水分がクラッドに拡散していくと、クラッドが膨潤し、屈折率が変化する特性を利用する。本研究の湿度センサーに用いるHECは吸湿性が強い、特に高湿度条件においては、著しく吸湿と体積膨張する特性があるので、それを考慮した屈折率と水分濃度との関係を構築し解析を行った。解析は光線追跡法を用いて、ファイバー出口の光強度を計算し、外部環境の温度、湿度を評価した。 POF温度センサーには疎水性のPoly Vinylidene DiFluoride(PVDF)とPoly(9-VinylCarbazole)PVCzを11:1の割合で混合し、感温膜を作った。湿度センサーには吸湿性に優れたHEC(HydroxyEthylCellulose)とPVDFを3:1~5:1の割合で混合し、感湿膜を作った。センサー部の長さは5mm,クラッドの厚みは50μmである。 制作したPOF温度センサーは熱電対と同じような反応を示すことが実験測定から分かった。温度が10℃高くなるにつき、出口まで伝われた光の強度が約0.1μW増加する。制作した湿度センサーは市販の相対湿度センサーと同程度の反応を示し、HECとPVDFの混合比3:1の時一番感度が高いことが分かった。また、作成した温度センサーは環境湿度変化の影響が受けないことも確認できた。また、セルロースの吸湿特性を考慮した場合の計算結果は実験結果の変化様子と一致することが分かった。 潤滑油の濃度測定センサーについては、潤滑油の中に曲がったファイバーを通ることで、曲がった先端の光の漏れは潤滑油の屈折率とファイバ屈折率の差の関数になることが実験より確認し、出口光強度の変化から潤滑油の屈折率測定が可能であることが確認できた。今後潤滑油の屈折率により曲がり曲率の最適化を行う予定。
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