研究概要 |
本研究では, 実際の生活環境下におけるヒトの歩行や昇降運動を計測するために, 筋電計, 足圧分布計測システム及び心拍計を作成し, それらを統合した計測システムを構築する. 本年度は, 1. フィールド調査, 2. 筋電計回路及び心拍計の作成と試験, 3. 足圧分布計測システムの試験を行った. 1, フィールド調査では, 転倒・転落の原因を身体能力低下やバランスの面, 歩行や昇降運動解析に必要な筋活動, 足圧分布, 心拍などの生体情報を調査した. 2. 筋電計及び心拍計回路の作成と試験では, 筋電アンプIC(型番 : NB6101HS, ナブテスコ(株))をベースとした表面筋電計を作成した. このアンプは, 増幅器, ハイパス・ローパスフィルタ機能及び全波整流平滑化回路を内蔵したハイブリッドICであり, 電源ノイズの影響が少ない. 一方, 低周波帯域の音を計測できる音響センサを使用し, 運動中の心拍の時間変化を計測した. その結果, 出身地と歩行の生体情報 (筋電図および心拍数)の関係を調査した結果, 相関関係はなかった. 関連研究として心拍を用いた自動車運転者の疲労解析を本音響センサで行い, 成果を発表した. 3. 足圧分布計測システムの試験では, F-スキャン : ニッタ(株)を使用し, 乾燥路面と凍結路面を歩行した際の足圧分布を計測した. 10名の出身地の異なる被験者の足圧分布および路面との接地時間を比較した. その結果, 雪面歩行の経験の有無によって足圧分布および接地時間に違いが生じていることがわかった. 以上の結果から, 足圧分布に着目したポータブル型計測システムの構築を目指す.出身地ごとに足圧の分布箇所や接地タイミングが違うことがわかったので, 今年度は圧力センサをベースとしたシステム構築を行う.
|