研究概要 |
本研究の目的は,自動車事故の際,歩行者に与える衝撃力を最小にし得るボンネットの機構を開発することにある.そのために,薄肉弾性体における面内変位とたわみとの非線形連成効果を積極的に活用することを提案するものである.本研究では,連続弾性体における非線形連成を考慮した,衝撃応答の理論解析ならびに実験を行い,衝撃緩和機構の提案を行う.さらに,強い非線形連成を利用して,構造要素端部の面内変形について,適切な拘束条件の選択やアクチュエーションを行うことで,面外方向の衝撃力緩和を実現することを目的とする. そのためにまず,非線形連成を利用した衝撃緩和基礎モデルの試作と実験を行った.端部に質量と軸方向拘束ばねが付加された偏平アーチ上に,スライダにより鉛直方向のみに運動できる錘を落下させ,錘に取り付けた加速度計から衝突時の衝撃力を,またアーチのたわみと端部の軸方向変位をレーザー変位計と加速度計により同時計測した.錘の落下距離,アーチ端部の質量と軸方向ばねを変化させ,衝撃力に及ぼす影響を明らかにした.また,衝撃緩和基礎モデルに対する理論計算を行い,実験結果との比較を行った.さらに,軸方向弾性拘束ならびに端部質量の慣性力という受動的要素を用いた衝撃力緩和効果を強化するため,曲率構造要素端部に動的作用を与えることを検討した.理論計算により,端部に与える面内動的力や動的変位が衝撃力に与える影響を明らかにした.
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