本研究は、自動車単体(以下、車両)の安全性向上を図るのみではなく、複数の追従走行を行う車両同士(以下、車群)が全体として安全性や安定性を向上させる制御技術を開発することを目的としている。実交通流での車群には様々な車種が混在し、かつ様々な特性を持つドライバがそれらを運転していることから、本年度は以下の2つの項目を実施し成果を得た。 1. テストコース上の車両実験で取得した延べ50名規模の運転挙動・車両挙動データ(追従走行〜減速〜停止)を車種別(乗用車、大型車)、運転者属性別(男性、女性、高齢者)に分類し、それぞれの減速挙動特性を車両反応時間、初期車間距離、追従感度の観点から定量的に把握した。これは今後車群追従シミュレーションにより車群の安全性や安定性を評価するための現実的なドライバモデルの構築に必要な特性となる。 2. 研究代表者が開発した追従走行時の追突危険性を把握する評価指標を用い、減速の特性と追突危険性との関係を評価した。これは今後車両単体の追突危険性を評価するだけではなく、車群全体の安全性や安定性を評価する方法を精緻化する上で重要な知見となる。 上記1及び2を実施した結果、車間距離が長い場合であっても必ずしも追突の危険性は減少しないこと、追従感度の低い減速は追突危険性を増加させやすいことなどを把握した。また、車群の安全性や安定性を評価するためには、車群を構成する車両の挙動・状態を動的に推定する必要もあることから、車群構成車両の状態を推定する理論的なモデルを定式化する試みも行った。
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