本研究では、低トルク高速駆動、おすび高トルク低速駆動を使い分け可能な人工筋肉型アクチュエータシステムを提案・製作し、簡易的なロボットに適用してその有効性を検証することを目指した。 平成20年度は、計画書どおり、本申請書で提案した人工筋肉型アクチュエータシステムの高トルク低速駆動部の動作検証試験を行った。短冊状の導電性高分子アクチュェータとしては入手性の高いIPMCを用いて試験的な実験装置を構築し、発生トルク、伸縮速度、および剛性のデータ測定を行った。剛性と発生トルクは概ね比例した線形関係を示しており、最も重要であると考える剛性も実験装置に印加した電圧に比例して変化することが定量的データとして示された。導電性高分子アクチュエータは柔軟素材であるため若干のヒステリシス特性を持つことがわかったが、本研究で特に用いようと考えているロボットの歩行、走行間の運動の切り替えに関しては、若干のヒステリシス特性は問題ないと考えられる。 平成21年度は、平成20年度に開発した人工筋肉型アクチュエータを用いて、ロボットにおける実験を試みた。まず、歩行ロボットの脚を想定した、一脚のロボットの膝関節部分に、提案どおり本アクチュエータシステム、および市販のモータを装着し、導電性高分子アクチュエータの剛性をげた状態でのモータでの低トルク高速駆動、および、導電性高分子アクチュエータの剛性を上げた状熊での高トルク低速駆動を行わせることに成功した。また、本人工筋肉アクチュエータのような弾性が変わるアクチュエータシステムを実際に歩行・走行ロボットに用いたときの制御手法を提案し、4脚ロボットの走行実験に成功した。これらの成果は2回の学術講演会において発表されている。
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