研究概要 |
本研究の目的は, 弾性体の飛び移り座屈を利用し, 生物のようなキビキビとした動きをする斬新なロボットを開発することである. まず, インパルス的な力を発生させる4種類のロボット機構を開発した. 1つ目は, 異方性の弾性点を有するインパルス力発生機構であり, 片方向のみに高い周波数で繰り返しインパルスカを発生できる. 2つ目は, 2リンク1能動関節の間に弾性体を挟んだ機構であり,これも片方向のみに高い周波数で繰り返しインパルスカを発生できる. 3つ目は, 弾性体の途中に尖った部分を施した機構であり, 弾性体の両端を回転往復運動させることにより, 強く直線性の良いインパルスカを生成できる. 4つ目は, 弾性体を振ることにより飛び移り座屈を発生させる機構であり, 弾性体の両端を一方向にのみ回転させることにより, 高い周波数で繰り返しインポルスカを発生できる. さらに, 開発したロボット機構を用いて, 3種類の新しいタイプのロボットを開発した. 1つ目は, 異方性の弾性点を有するインパルス力発生機構を用いた, 繰り返し跳躍移動ロボットである. バッテリ・制御器未搭載ではあるが, 非常にシンプルな構造で0.5メートルを超す跳躍を1ヘルツ程度の周波数で繰り返すことに成功した. 2つ目は,2リンク1能動関節型の片方向インパルス力発生機構を2対用いた, 小型2脚滑走ロボットであり, 地面の蹴りと着地時の胴体による跳ね返りを繰り返すことにより走行する. 掌に載るほどの小型サイズで, 100グラムにも満たないほどの軽量でありながら, 秒速0.8メートルの最高速度を達成した. 2つ目は, 尖状弾性体を有するインパルス力発生機構を用いた, カメレオンの舌型高速捕獲ロボットマニピュレータである. カメレオンの舌部の機能を果たす凸状弾性体と組み合わせることにより, 小型でシンプルなシステムでありながら, 離れた場所にある物体を極めて高速で捕獲することに成功した.
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